おいしい県立 白メシ学園|箸は剣よりも強し!青年よ茶碗を抱け!

米総合学部

お米のことを徹底的にライススタディする米総合学部。
お米にまつわるウワサや知って得する情報など、幅広い白メシ知識を習得します。

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白メシ学園的米作りの88手間・第8話 ~ 最終編~

1.はじめに

米」という漢字が八十八という字を組み合わせてつくられているのは、白メシになるまでに88回の手間がかかるから。という由来を検証するために、1年間をとおして米づくりの工程を学ぶ実習レポート。いよいよ白メシの完成です!

2. 乾燥した籾を玄米に

遠赤外線乾燥機で乾燥させた籾は、設定した水分値になっているか水分計で確認したあと、籾すりという工程へ。籾殻(もみがら)を取り除いて玄米にする作業です。

▲こちらが米の乾燥具合を測定する水分計

ところで、今さらですが、精米用語紹介です。

▲籾(もみ)…稲刈りをして実の部分だけを脱穀して取り出したもの。米の周りに硬い黄色の殻がついた状態の粒。このまま保存して種まきをすると発芽して再び稲になる
▲籾殻(もみがら)…籾の外側にある硬い殻(皮)の部分
▲玄米(げんまい)…籾すりをして籾殻を取り除いた米粒。しばらくは発芽可能な状態を保つので、わずかに発芽させると健康食として人気の発芽玄米に
▲精米(せいまい)…玄米の周りにある薄皮部や胚芽(はいが)などを削って取り除き、白米にする作業
▲糠(ぬか)…精米作業の際に排出される薄皮や胚芽の粉
▲小米(こごめ)…精米時に割れた米や成熟できなかった小さな米粒

そして、以下が籾すりに使う籾すり機。ロール式タイプで、回転速度の違う2つのゴムロールの間を乾燥した籾が通過することで籾殻がむける仕組みです。

▲籾すり機の仕組み
▲こんな感じで2つのゴムロールが回転して玄米に

むけた籾殻は、排出筒に(DIYで)取り付けたダクトから屋外に大胆に排出します。この勢いを動画でお見せできないのが残念なほど、想像以上の威力で籾殻が飛び出してきます。

▲籾殻の山の位置から、ダクトから飛び出す勢いをお察しください

ちなみに、この籾殻は田畑に蒔いて土にすき込むと肥料になり、土壌も軟らかくなります。なんてサステナブル!

こうして玄米の完成です。

白メシ学園的88工程

その75: 乾燥した籾を水分計で測定(乾燥機の設定値を信用していないわけではなく、念には念を!)。

その76:籾すり機で籾から籾殻を取り除き、玄米に。

その77:大胆に排出される籾殻の勢いに驚く。

その78:籾殻の有効活用から農業のSDGsを実感。

3.いよいよ玄米を白米に…!

さて、できあがった玄米。このままのほうが栄養価は高いのですが、精米して白メシにするのは、なんといっても柔らかさ・食べやすさ・おいしさが格段にアップするから。米ぬかや胚芽があると口当たりが固くなり、独特の雑味も感じるのです。ということで、玄米​​を精米機に投入し、表面の糠層を削って米糠を取り除きます。

▲籾すり機に併設した精米機で精米工程へ。手前に写る紙製の袋の中身は全て米糠
▲こんな感じで削られた米糠は排出されて袋の中に収まります

本来ならここで白米の完成! なのですが、お手伝いに行っている農家さんは石抜き機を付属させ、収穫時に混入した小石を篩(ふるい)にかけて取り除きます。さらに食味を向上させるため、付属させた小米取り機で篩にかけて小米を選別し、除去します。おいしい白メシのためには、手間ひまかけて、念には念を入れるのです!

▲精米機で精米した白米を、さらに石抜き機、小米取り機を通して良品に

それでは中途半端な映像で恐縮ですが、動画でご覧ください。

白メシ学園的88工程

その79:玄米を精米機にかけて白米に。

その80:白米を石抜き機で篩にかけ、小石を取り除く。

その81:さらに小米取り機で篩にかけて小米を選別し、おいしさを追求。

なお、石抜き機や小米取り機の代わりに色選機(色選=色彩選別)というものを取り付けると、小石や小米だけでなく、カメムシ被害で傷んだ米も取り除かれるのだそう。ただ、農家さんは持っていないため、そのぶん、カメムシ被害の米をなくすために、精米の時点で多めに糠層を削っているそうです。つまり、日本酒でいうところの“精米歩合が高い” という状態。これにより、米の中心部の甘みをより感じられるようになるに違いない。

白メシ学園的88工程

その82:精米率を高めて傷んだ糠層を除去し、純米吟醸化。

米糠も、もちろん活用します。野菜を漬ける糠床にしたり、籾殻と一緒に田畑に撒いたり。米糠にはタンパク質や脂質、ビタミンやミネラル類などが豊富に含まれているため、土に撒くと栄養分で微生物が増殖し、養分が溜まって作物がすくすくと育つのだとか。どこまでもサステナブル!

白メシ学園的88工程

その83:米糠の有効活用で、さらにSDGsを深く実感。 

さて、ようやくできあがった白米ですが、農家さんではこれを販売のためにパッケージ化しています。秤で重さを量り、クラフト紙の米袋に詰めたら、とうとう商品の完成です!

▲昔ながらの秤で測定。割とアナログ
▲米の品種のハンコを押して商品に。こちらは5kgのパッケージ

白メシ学園的88工程

その84:米袋に詰めて商品に。

ちなみにクラフト紙はとにかく丈夫で、天然素材なので米粒にやさしく、リサイクル可能で環境にもエコなのだとか。パッケージまでサステナブル!

白メシ学園的88工程

その85:なぜ米袋はクラフト紙なのか調べてみたら、よりSDGsを実感。

4.新米の白メシを食べよう!

この精米直後の米が最もおいしく、時間が経つにつれて酸化や乾燥が進み、味が低下します。ということで、白メシをおいしく食べるには、精米したてのこの状態が一番! さらに新米は保水量や吸水率が高いので、洗米や水加減にもポイントがあるのです。

最初の水は一気に入れてすぐに捨て、さっと指でかき混ぜる程度での洗米を数回繰り返し、好みによって炊く水分量はやや少なめに。炊きあがったら余分な水分を逃すように釜の底から大きくやさしく返します。

こうして、もちもちとして軟らかく、フレッシュな風味の新米ごはんの完成です!

白メシ学園的88工程

その85:新米を実際に炊いてミタ

その86:洗米は素早く! 扱いはやさしく!

なお、新米とは、秋に収穫され、年内(~12月31日)に精米・包装された米のこと。保存する場合は米袋から密閉できる保存袋や容器などに移し、温度・湿度が安定した冷暗所に保管しておきましょう。12~15℃の温度が保管に最適なのだとか。そして早めに使い切ることが何よりのポイントです!

白メシ学園的88工程

その87:新米とは年内に精米した米のことと知り、思わずその知識を人に披露したくなる

炊きあがった新米は「ミタ研」を参考にすれば、よりおいしく食べられること間違いなし!  ということで、いろいろ乗せてミタ。

▲まずは桜鱒のほぐし味噌漬(新潟県村上市産)乗せてミタ。お土産にもらったものの、開封のタイミングがなく、今だと思った次第です
▲続いて、農家さんの手作り野沢菜の浅漬、乗せてミタ。漬ける際、隠し味に酢を加えるのがポイントとのことです
▲最後に、私的朝食の定番、納豆と生卵を乗せてミタ。新米に納豆と卵のおいしさが加わり、一石三鳥!

白メシ学園的88工程

その88:「ミタ研」の先行研究を参考に、白メシ研究を追随。

ということで88工程を経て、おいしい白メシ、これにて完成です!

5.餅をつきました

無事、新米も炊きあげたところで、お手伝いに行っている農家さんの恒例行事、年末の「餅つき」に参加しました。薪を使った竈(かまど)と羽釜、セイロで餅米を蒸し、木の臼と杵でつく昔ながらのやり方で、なんと用意された餅米は30kg(20升)!

▲ふたつの臼で老若男女問わずつきまくる
▲前日には臼を洗い、傷んだ杵の先や臼の底をサンダーで丸める準備も
▲3つの竈および6個のセイロで蒸しまくります

餅つきは熱々に蒸された餅米を熱いうちにつくスピード勝負。最初はつかずに杵に体重をかけてグイグイと餅米を潰し(この作業が非常に重要かつ重労働)、餅米全体を丁寧に潰したら、あとはひたすら餅米の粒感がなくなるまでつくだけ。限りなく全身運動です。

▲まずは、杵でグイグイ餅米を潰してひと塊に

▲重力を生かしつつ杵を振り落とす!

▲つきたて餅は、自家栽培の青大根おろしでおいしくいただきました

さらに、この餅を正月の雑煮やおしるこに使うため、専用ののし餅袋(便利グッズ)に入れ、体重をかけてひたすらのします。どこまでも全身運動&スピード勝負で、30kgとなるとエンドレスな気分に…。翌日、筋肉痛になったことは言うまでもありません。

▲この量が1升分(全体の20分の1ほど)の餅…。手足を使い、ひたすらのします

しかし、こうして良い正月が迎えられそうです。先生も良いお年を!

▲黄色い餅はキビ入りのアレンジバージョンです

6.所感

無事、自分で手がけた白メシが食べられ、餅までついて達成感に溢れています。また、一年をとおして農作業の苦労も楽しさも実感し、感無量であると同時に、今日もおいしい白メシが食べられることに、日本全国の米農家の皆さんに感謝せずにはいられません。

担当教員より/

なかば無理やり88工程にした感も否めませんが、ともあれ、一年間お疲れさまでした。私も苦楽をともにした気分です。くどいようですが、最終的な成果を確認するためにも、研究室に新米が届くのを心待ちにしています。

評価:新米期待美味