おいしい県立 白メシ学園|箸は剣よりも強し!青年よ茶碗を抱け!

米総合学部

お米のことを徹底的にライススタディする米総合学部。
お米にまつわるウワサや知って得する情報など、幅広い白メシ知識を習得します。

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NEW! 白メシ学園的米作りの88手間・第4話 ~48手間目まで進むの巻~

1.はじめに

「米」という漢字が八十八という字を組み合わせてつくられているのは、白メシになるまでに88回の手間がかかるから。という由来を検証するために、1年間をとおして米づくりの工程を学ぶ実習レポートの4回目。農業は年中無休です。

2.農業は雑草との戦い

植物が著しく生長する梅雨から初夏の時期、雑草も生き生きと育っています。田んぼのあぜの間や用水路への法面など、いたるところに出現し、作物の生育や害虫駆除に悪影響をおよぼす厄介モノ。「農業は雑草との戦いである」ともいわれるとおり、草刈りは農業において重要かつ不可欠なのです。

ということで、草刈機(通称・ビーバー)を使ってひたすら草刈りです。平坦な場所ばかりではなく、あぜとあぜの間や土手の斜面など、足場が不安定なところも、とにかく草刈りです。

ポイントは、左回転の刃に対して右から左へと草刈機を動かすこと。そして、刈り取った草を田んぼに落とすと水の流れが詰まってしまうため、草を持ち上げるように下から上へと刈ること。この重力に反する作業が体力もテクニックも要し、かなり大変なのです。

しかも、この時期は、朝8時にもなると日差しが強くなって作業がつらくなるため、早朝5時頃の日の出から3時間ほどが勝負。効率性も自ら考える必要があり、足腰も思考力も精神力も鍛えられます(本気で)。

白メシ学園的88工程
その38:なにはともあれ、早起き草刈り
その39:ポイントは右から左および下から上へ
その40:各自で効率性を追求し、心身を自然に鍛錬

3.草むらでの未知との遭遇

草刈りをしていると、草むらでさまざまなものに出合います。まずは食材。水際に生えるセリなどの野草や山菜は、絶好の旬のおかずに。田んぼに生えるセリは香りが強く、刈ると強烈にフレッシュな香りを発するので、一瞬、爽快感に包まれてお得な気分にもなれます。

白メシ学園的88工程
その41:田ゼリを刈って食材に。あるいはさわやかな気持ちに

続いて見かけたのは、赤いイナゴ。突然変異でしょうか。
長野の郷土食の代表、イナゴは、子どもの頃、よく獲っては祖母が調理してくれたのですが、改めてよく見ると「よくこれを掴めたな」という気持ちに襲われます。同時に「よくこれを食べようと思ったな」という、ある種、昔の人への敬意を覚えずにはいられません。

白メシ学園的88工程
その42:イナゴを食べた古の環境に思いを馳せる

さらに、適度に背が伸びた草むらに隠れているのが、野鳥の巣。この時期、山の田んぼではキジの鳴き声が聞こえたり、なんだったらキジの姿も見かけますが、草むらに不意に登場するのが、6〜10個ほどのキジの卵です。ヘビやイタチ、カラスといった天敵から逃れるために絶好の草むらを探したと思ったのに、人間に草刈りをされるなんて…。母鳥が不憫でなりませんが、本当に何の目印もないので、こちらとしても避けようがないのです。

しかも、キジのメスは母性本能が強く、抱卵を始めると外敵が近づいても逃げずに卵を守るという習性があるため、かなりの騒音を発する草刈機が近づいてもギリギリまで抱卵し、突然草むらから親鳥が飛び立っていく姿が見られます。突然の出現に相当びっくりしますが、危険を顧みずに卵を抱える親鳥を考えると、野生の生物の本能に畏敬の念を抱かずにはいられません。

加えて、なんと、草刈りに慣れた熟練農家さんは、あまりのスピーディーさに親鳥ごと刈ってしまうこともあるとか…。誰も悪くないとはいえ、申し訳ない気持ちに包まれます…。

白メシ学園的88工程
その43:草むらにキジの卵発見
その44:親鳥まで刈ってしまう農家さんの草刈り技術と母鳥野母性本能に恐れおののく

卵がむき出しになった巣には親鳥が二度と戻ってこないそうで、そのままにしておくと、翌日には天敵によって跡形もなく、なくなっているのが自然の摂理。そこで持ち帰って、自家製孵卵器をつくり、農家さんの倉庫で温めてみました。

…孵りませんでした。余談ですが、筆者はかつて電気毛布とコタツを駆使して、有精卵のウズラの卵を孵したことがあります。卵からひよこが生まれる瞬間は感動です。

孵化しなかったキジの卵は、自己責任にて農業仲間が食べてみたとのことでした。「普通においしかった」そうです。

白メシ学園的88工程
その45:キジの卵を持ち帰って孵化を試みる
その46:卵を食べてみる(自己責任)

なお、日本の国鳥あり保護鳥であるキジは、狩猟も可能という珍しい野鳥です。というのも、キジが国鳥に認められた理由のひとつが、そもそも肉がおいしくて狩猟対象になっていたからだとか。一方で、ワシントン条約の規定に当てはまる絶滅危惧種でもあるそうで、捕獲やペット化は自治体等の証明が必要なのだそう。なんとも複雑な運命の野鳥なのです…。

ちなみに、草むらではキジのほかにカモの卵もよく見られます。カモも草刈機で迫ると、ギリギリまで抱卵した親鳥が飛び立つ様子が見られます。母は強し。

白メシ学園的88工程
その46:野鳥の親の母性本能に感動

4.草刈りの様子、ドローンで撮ってミタ。

農業仲間のひとりが、突然、ドローンを購入したとのことで、農作業風景を上空から撮影してみました。ただの草刈り作業が、一気に壮大なプロジェクトのように。天気が悪くてもいい感じに映る不思議。なんらかのオープニング動画のようになった映像をよろしければご覧ください。

白メシ学園的88工程
その48:草刈りの様子、ドローンで撮ってミタ。

このドローンの最大制御範囲が8kmと聞いて、これまたびっくり。ところで、スマート農業化が進んでいる昨今、農薬散布などにも活用されているドローンですが、今回に関しては、単なる趣味の撮影ですのであしからず…。

5.所感

施肥や消毒で大切に育てても目当ての作物はなかなか生育しないのに、踏みつけても水をあげなくても育つのが雑草。「雑草魂」という言葉の語源を農業で痛感しました。そして、野鳥の母鳥の母性愛を間近で見て、妙に我が母へ感謝の気持ちを述べたくなりました。

担当教員より/

山村農業を理解するとともに、体力を培い、身も心も鍛え、さらに命の尊さも学んでいる様子が伝わってきました。それにしても農業は、各自で効率性も作業性も考え、自己判断に取り組む「脳業」でもあるのですね。うまいこと言ってみました。

評価:米米草卵食米米