おいしそうな言葉を集めた辞典の制作
1.はじめに
梅干しをじっと見つめて、口中に溜まったつばをおかずに飯を食べるケチな人が登場する落語がある。その人は、うなぎを焼いている匂いでも飯を食べてしまう。すごい。実際に口にすることなく、想像や嗅覚のみで食事をしてしまうその発想には驚くしかない。
落語のように、白メシだけがあっておかずがない時に、都合よく梅干しや鰻屋があるわけではない。しかし我々には言葉があるじゃないか。その言葉を目にするだけで、発語するだけで白メシが食べられそうな、おいしそうな言葉を考えた。
2.うまみ・コク・風味をおかずにする
まず最初に思い浮かんだのは『うまみ』だ。『うまみ』と聞くと、実態は掴めないものの、何かしらおいしい食べ物が頭の中に浮かんでくる。『うま』のあたりがすでにおいしい。
『コク』も同様だ。聞くだけで、そしてこの字の並びを目にするだけでちょっとおいしそうな感覚が芽生える。
『風味』もおいしそうな言葉だと思う。辞書で調べたところ、以下のように書かれていた。
“風味(ふうみ)〘名〙=味。飲食物などが舌に与える趣のあるよいあじわい。”
味そのものではないか。「趣のあるよいあじわい」というのもたまらない。白メシがぐいぐい進みそうだ。
うまみ・コク・風味。この3つの言葉は、ごはんのおかずになる気がする。そこで“言葉のおかず辞典”を作ってみようと考えた。
3.言葉はおかずになる
辞典制作にあたって、大手コンビニエンスストア3社・持ち帰り弁当チェーン2社・外食チェーンストア2社のWebサイトを参考に、以下手順にて調査を行った。
- 弁当・定食・おにぎり・寿司の商品約600種類を対象にリサーチ
- 各商品に添えられた説明テキストを精読
- うまみ・コク・風味がテキスト内で使われているかを確認
- テキストから言葉の一部を抽出。一覧表にまとめる
うまみ・コク・風味の他に、食感・ジューシーなども織り交ぜてみた。どうだろうか。ただ眺めているだけでつばが出て、匂いを感じる気がしてきた。事実、腹が減ってきた。
4.所感
言葉はおかずになるかもしれない。もっとサンプルを増やせば、まだ出会ったことのないおいしそうな言葉がどこかに隠れている、そんな気持ちにすらなってくる。
(了)
【担当教員より】
地道なリサーチお疲れ様でした。表の色が食欲を刺激すると言われているオレンジ系で揃えてあるところにもその本気度が見え隠れします。確かに腹が減ってきたかもしれません。白メシを食べましょう。
評価:米米うまみ米コク米風味
参考・引用文献
ほっかほっか亭