国語辞典における「丼もの」の例は何がいちばん多いのか調査
1.はじめに
以前『国語辞典の「飯」の例文を小さな文学として味わう』というレポートを提出しました。今回は国語辞典シリーズとして、丼ものを調べてみようと思います。
2.丼ものといえば……
先日お腹が空いたので、丼もののことでも調べて空腹を紛らわそうと思い、「丼もの」と検索したところ以下の説明がヒットしました。
どんぶり‐もの【丼物】
どんぶり飯の上に具をのせたもの。カツ丼・天丼など。どんもの。
デジタル大辞泉(小学館)
カツ丼・天丼など……。
この一文に私の胃袋は激しく反応したのと同時に「親子丼も入れてあげて欲しい」「なぜ牛丼ではないのだろう」「鉄火丼あたりも悪くない」などと一瞬にして頭の中で丼総選挙が始まりました。他の辞典では何丼を丼ものとして例示しているのかも気になりましたので、今回のレポートでは、20冊の辞典を用いて『丼もの』を調べ、何丼が例として挙げられているかをまとめました。
3.各辞典の丼ものの例示
以下に『丼もの』を調べるにあたって使用した辞典と、説明の中で丼ものとして例示されていた丼の名称を記載しました。
広辞苑第7版=天丼、親子丼
学研国語辞典第2版=親子丼、うなぎ丼、開化丼、卵丼、鉄火丼
新潮国語辞典第2版=親子丼
小学館日本語新辞典=親子丼、天丼、かつ丼
新明解国語辞典第6版=親子丼
新明解国語辞典第7版=親子丼
新明解国語辞典第8版=親子丼
大辞林第4版=天丼、親子丼
講談社日本語大辞典第2版=親子丼、鉄火丼
角川必携国語辞典=親子丼
三省堂現代新国語辞典第6版=親子丼
三省堂国語辞典第7版=親子丼、三色丼
見やすい現代国語辞典=親子丼
例解新国語辞典第3版=親子丼
大辞泉第2版=かつ丼、天丼
日本国語大辞典第2版=天丼、かつ丼
新潮現代国語辞典第2版=うなぎ丼
岩波国語辞典第6版=うなぎ丼
岩波国語辞典第8版=うなぎ丼
新選国語辞典第10版=牛丼、うな丼
棒グラフで整理した結果がこちらです。

調査結果からわかったこと・思ったことをまとめます。
(1)圧倒的に親子丼が多い。
(2)メジャーな丼ものだと思っていた牛丼が、1冊でしか例として扱われていなかった。
(3)開化丼・三色丼などの馴染みの薄い丼ものを例として挙げている辞典もあった。
4.所感
牛丼の扱いの少なさには驚きました。美味しいだけでは取り上げてもらえないのかもしれません。どういう基準で選ばれているのか、深堀りしがいのあるテーマだなと思いました。
(了)
【担当教員より】
なぜ親子丼が圧倒的に多いのかも気になりませんか。あと、うな重は馴染みがありますが、うなぎ丼ってそこまでメジャーでもないような……。謎が謎を呼ぶ研究テーマでした。美味しいだけではダメなのか……。ちなみに開化丼は牛肉と玉ねぎを甘辛く煮たものを乗せた丼で、文明開化の頃に作られたからこの名前になったようです。丼豆知識。
評価:米米丼丼米米