おいしい県立 白メシ学園|箸は剣よりも強し!青年よ茶碗を抱け!

社会学部

お米と社会について学ぶ社会学部ではお米の歴史から
最新のごはん事情まで、あらゆる側面からお米を研究します。

社会学部

年貢米復活のシミュレーション
〜お米で納税をすると何が起きるか〜

1.はじめに

確定申告の時期である。毎年思うことだが、お米の価値が何にも勝る私にとって、税を「お金」で納めることが不思議で仕方ない。なぜかつてのように「お米」ではいけないのか。そんな疑問から、年貢米制度が復活した場合、どんなことが起こるかシミュレーションしてみた。

2.一般的なサラリーマンの年貢米

まず、平均的なサラリーマンがどれだけのお米を年貢として収めるのかを計算してみた。

■前提
年収:443万円(日本の平均給与※1 うち100万円を賞与支給と仮定)
家族状況:16歳以下の子ども2人を扶養(妻は扶養外)
社会保険(厚生年金、健康保険等)も「税的要素」が強いためカウントする。

所得税 97,600円
住民税 205,100円
厚生年金 398,940円
健康保険 249,608円
雇用保険 22,150円
――――――――――
計 973,398円

さて、この金額を現在の米に換算する。

総務省統計局による小売物価統計調査によると、米の平均価格(最新データ:2022年11月分)は5kg2,028円※2。これをもとに計算すると、2,400kgとなる。

軽トラの最大積算量は350kgなので、7台必要である。タウンエースでも750kgまでなので4台必要である。当然ながら、2トントラックでも1回では運べない。年貢米であれば収穫後の年1回納税となるだろうから、持ち込む日は会社を休む必要に迫られる。納税期限最終日などは税務署近辺の交通が麻痺するであろう。

3.企業の年貢米/トヨタ自動車

一サラリーマンですらタウンエース4台である。企業ともなると相当なことになろう。

納税額国内ナンバーワンのトヨタ自動車で計算してみる。

トヨタ自動車の2022年3月期の納税額は4,775億8,300万円。この時点でピンとこないが、先ほどの米の平均単価で割ると11億7,747万kg(117万7,470トン)。日本全体の米の収穫量が776万トン※3なので、約15%がトヨタ自動車の納税に使われることになる。

4.日本の米ですべての税は賄えるのか

ここまで来ると多くの人の頭に、こんな疑問がよぎると思う。はたして日本全体の税金は国内で生産した米で賄えるのか。

日本の税収は67兆円(令和3年度)。これを先ほどの米の平均単価で割ると1,651億8,737万kg(1億6,518万トン)。国全体の米の収穫量776万トンの2倍を超えてしまった。

世界では約4億8,000万トンの米が生産されている※4ので、米を輸入して納めれば足りる。が、めんどう極まりない。

5.まとめ

こうして実際に計算してみると、年貢米が廃止され、お金で税を納めるようになったのも頷ける。しかし、現在の2倍強を生産すれば、どうにか年貢米制度を復活させられないこともないのではないか。じゃんじゃん稼いで、じゃんじゃん年貢を納める。それに伴い、お米の生産・消費も増えていく。そんなお米中心の世界が復活したらどれほどうれしいか、という私の夢を記したところで、この文章を閉じたい。

【担当教員より】
経済学の基本中の基本が書かれた小さな子ども向けの本がたくさん出ているので、まずはそれから読んでみてください。

評価:米税米税米税米税米税米税米税米税

参考・引用文献

※1 令和3年分 民間給与実態統計調査(国税庁)

※2 総務省統計局 小売物価統計調査(最新データは2022年11月)

※3 令和2年産水陸稲の収穫量(農林水産省)

※4「PS &D」(米国農務省、2015年)